"This is Weather News"

 


日常を生きる。
それが普通に本当に常にそこにあることなのだろうか?
という疑い「あーなってもこうならない」というテーマから始まった
"This is weather news"
が本当になってしまった今、これから私達はどこに向かってゆけばいいのか?
答えは決まってる。
大きな問題を抱えながらも前進してゆかなければいけない。
生きること=踊ることと書くのが極端に嫌だったが、
今はあえてそう書きたい。
私たちに出来ることは
なぜこんな事が起こったのかという問いを超えて立ち上がり、
こうなった今、私たちはどうすれば良いのかと問い始めることなのです。
この作品を通して日常に生きる意味を問いただし、
皆さんに目撃してもらえることで
あーなってもこうならない日常を生きる意味を無関心にならずみつけたい。

矢内原美邦 ▶profile ▶blog

 

 



 

今回の大きな震災を経て、
生き残った人たちはこれからどうするべきなのかなと考えます。
放射能が漏れ出して、
日本人はこれまでどれだけのこと忘れてきたのかなと思い出します。
こんなはずじゃなかったと嘆きながら、
本当はなにもかも生まれたときから知っていたような気もします。
「死ぬかもしれない!」と思ったときに、
逃げ出す人たちがいて、それに抗わんとする人たちがいて、
それでもやっぱりここで待とうとする人たちがいます。
時間と空間さえも失って、これが最期だよ、と言われた地平のうえで、
それでも待ちつづける人たちのことを想像します。
「神様!」と祈る代わりに「ここで待ちます」と手をあげる人たちのことを。
そしてその時がやがてやってきたとき、
「やっぱりな」と彼らがつぶやくのをききたいと思います。

高橋啓祐 ▶profile ▶blog





震災後、一週間程で日本を出発しN.Y.で創作活動をしている。
もう10日が過ぎた。様々な情報が飛び交う中、被災地の惨状思い、家族の事を思う。
その一方で、私の身体は圧倒的な安心感を得ている。
頭と身体がバラバラして気持ちが悪い。
また日増しに日本に帰らなくては行けないという気持ちが増幅していって、吐きそうになる。
今になってみると僕たちは何かを表現する時に、
常に世の中が安全である事を前提にしていたのかもしれない。
その地平にたってはじめて「一寸先は闇、でいいじゃないか。」と言えたのだろう。
今は誰もが当然のように一寸先は闇だと思っているだろうし、
闇でいいじゃないかという人もいないだろう。
ただ僕たちが表現しようとしている
「予定通りにいかないことの中に法則を探す」という試みは
以前よりもさらに重要さを増してくる気がしている。
こんな時だからこそ表現者として今できる精一杯のことをしたい。
安全が保障されず、不確実な予報が飛交う社会を、
皆で強く冷静に生きぬくために。

矢内原充志 ▶profile ▶blog

 

朝起きて、ネットを立ち上げて、天気予報のチェック。
今日の気温は? 降水確率は? 着ていく服がようやく決まる。
駅のホームには、時刻表に沿って分刻みで到着する通勤電車。
どこかで起こった人身事故にイライラしながら、待つこと5分。
謝罪のアナウンスで、少しだけ納得する。
私たちの日常は、こんな場面で溢れている。
いつも、「こうしたら、ああなるだろう」と、
世界を予定調和に捉えて暮らしている。
これは、まさに 現代文明病 だと思う。
街を一歩飛び出せば、つまづいた石に文句を言う相手はいない。
ヨガ教室にせっせと通うあの子の顔にはニキビができて、
多くの命を救った近所の名医は、癌であっさり亡くなった。
「こうしても、ああならない」本当は、まったく予定調和じゃない。
血液型の本がベストセラーになることも、
学校に乗りこむモンスターペアレントの誕生も、
金融工学を使ったサブプライムローンも、
街中に張り巡らされたセキュリティ装置も、
みんな、「こうしたら、ああなるだろう」と予定調和を信じてしまう現代文明病。
とはいえ、私たちも文明人であることからはきっと逃れられない。

伊藤剛 ▶profile