Nibroll "see/saw" 金沢公演

2014.8月30日(sat) 18:00 - (開場17:30) & 8月31日(sun) 14:00 - (開場13:30)
金沢市民芸術村 アート工房 (PIT5) ▶map
▶Ticket予約

★各公演の終演後に、アフタートークを行います。


横浜創造都市センターで初演を迎え(12年)、その後越後・妻有トリエンナーレ(12年)やマレーシア(14年)などでも上演され、ダンス、映像、音楽、美術がひとつになったその圧倒的な世界観は、ニブロールのこれまでの集大成ともいえる作品です。

生と死、記憶と現実、今見てること(see)と過去に見たこと(saw)。

「シーソー」のように揺れ動く二つの世界を対比しながら、日常が一瞬にして失われ、絶望の淵へと落ちていくかのような表現で多くの観客の心を揺さぶったニブロールの最新作を、今回は金沢で公募したダンサーたちを出演者として迎え、幅広いジャンルのアートの発信地となっている 金沢市民芸術村アート工房にて上演します。

*出演者募集は〆切りました。


振付 : 矢内原美邦 / 映像 : 高橋啓祐 / 音楽 : スカンク / 美術 : カミイケタクヤ / 衣装 : スズキタカユキ
舞台監督 : 鈴木康郎、湯山千景 / 制作 : 奥野将徳(precog)

出演 : 小山衣美、絹川明奈、クリタマキ、山下彩子+公募参加者

▶Artist Profile
▶Dancer Profile

【主催】 (公財)金沢芸術創造財団  【共催】 金沢市民芸術村アクションプラン実行委員会 【助成】 芸術文化振興基金
【後援】 北國新聞社、北陸放送、石川テレビ、エフエム石川


■料金(全席自由)
一般 2,500円(当日3,000円) 高校生以下 1,000円(当日1,500円) ※未就学児入場不可

■チケット予約
ローソンチケット(Lコード 55907) TEL 0570-000-777 ▶予約する
チケットぴあ(Pコード 438-468) TEL 0570-02-9999 ▶予約する

■窓口にてチケット購入
金沢市民芸術村 ▶map
香林坊大和チケットボックス ▶map
石川県立音楽堂チケットボックス ▶map

【お問合せ】
公益財団法人 金沢芸術創造財団 事業課
TEL 076-223-9898(平日9:00~17:00)

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やがてシーソーが傾いて
一方に乗った君が
跳ね上がったときに見た風景を
もう一方で沈む君が
想像するところからはじめます

これからやってくる日々を思い出し
それまでやってきた日々を綴り
どうしてそれが選ばれて
どうしてそれは選ばれなかったのか
君は考え
ここではないどこか遠くで見た風景を想像して
「見た?」と聞くと
「見た」と君は答える


おそらくは誰もが子どもの頃、一度は遊んだことがあるシーソー。
語源はsee「見る、反復する」+saw「のこぎり、前後に動かす」らしいですが、
この"see"と "saw"という現在と過去の単語がひとつになったこの言葉からは、 さまざまな記憶のイメージが浮かんできます。

ギッタン、バッコンと上になったり、下になったりを繰り返しながら、それぞれの高さで、僕らはそこからなにを見ていたのでしょうか?
そしてそのとき、向こう側のもう一方には誰が乗っていたのでしょうか?

これは記憶についての作品ですが、いろいろな人のそれぞれの記憶の断片を集めて、
作品自体を記憶化するイメージです。

見る、と、見た、その間にある風景について。

▶Review

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振付:矢内原美邦 Yanaihara, Mikuni

ニブロール主宰。大学で舞踊学を専攻、在学中にNHK賞、特別賞など数々の賞を受賞。 日常の身ぶりをモチーフに現代の空虚さや危うさをドライに提示するそ の独特の振付けは国内外での評価も高く、身体と真正面から向き合っている数少ない振付家のひとりと言える。 ミクニ ヤナイハラプロジェクトでは演劇、劇作にも挑戦し、ジャンルを問わないその活動はニブロールのみならず、多数のアーティストとコラボレーションするなど世界中を 舞台に活躍中。ダンス/演劇の両分野で高い評価を得ている。12年「第56回岸田國士戯曲賞」受賞。

+blog / +Mikuni Yanaihara Project



映像:高橋啓祐 Takahashi, Keisuke

ニブロールには映像ディレクターとして設立時より参加し、これまでの全作品に関わる。 その一方でoff-Nibrollや個人でも映像作家として活動している。 イタリアでの個展をはじめ、仙台メディアテイク、大原美術館、バンクアート横浜などでの展示や、国内外のアートフェスティバルにも映像インスタレーション作品を多数出品。 また、その傍らでTV番組制作、CM、ミュージッククリップ、ファッションショーなどのイベント映像なども制作している。05年「第9回文化庁メディア芸術祭」審査委員会推薦優秀作品受賞。

+blog / +off-Nibroll


音楽:スカンク SKANK

05年よりNibrollに参加。個人的な活動も精力的に行っており、自身のユニット"MEXI"では形態を定めず都内中心での活動を始め多くのミュージシャンや美術、写真など他ジャンルのアーティストとも積極的にセッションしている。 また多くの身体表現の舞台にも楽曲の提供、演奏を国内外でしており09年から指輪ホテルの「洪水 massive water」にスカンクのゾンビ役で出演、演奏をしている。 他にも循環プロジェクト(エイブルアート参加事業)では音楽のナビゲーターを務めたり、美術家、アニメーターとの共同プロジェクト「words factry」では言葉をテーマにした作品を共同制作するなど活動の幅を広げている。
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美術:カミイケタクヤ Kamiike, Takuya

香川県在住の美術家。1979年生まれ。高校卒業後、舞台大道具の仕事を始め、その技術や経験を用いて作品を製作。「時間の経過」という人間の故意では行えない事と「拾う」という偶然性の事を主軸として元来の舞台美術の製作方法とは反対の方向より舞台美術作品を製作する。 また同様の形で平面作品、インスタレーション作品も制作。 最近の主な作品としては、山下残演出「庭みたいなもの」に舞台美術として参加し、「高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.01@高松市立美術館」ではインスタレーション作品を制作。 本作よりニブロールメンバーとして参加。
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衣装:スズキタカユキ Suzuki, Takayuki

1975 年愛知県生まれ。07年より東京コレクションに参加。 同年、オーガニックコットンに特化した「ikkuna/suzuki takayuki」を スタート。09年にMilano Unicaでのイベント「オン・ステージ」に世界の新鋭デザイナー10名の中の一人として選ばれ、合同ショーに参加。12年にはインドにて開催された「Wills Lifestyle India Fashion Week」で合同ショーに参加。現在では、ウェディングドレスや一点ものアイテムを手掛けるなど活動の場を広げている。ニブロール関連ではこれまでに「桜の園」や、ミクニヤナイハラプロジェクト「五人姉妹」でも衣装として参加。
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小山衣美 Oyama, Emi

広島県生まれ。8歳より新体操を、18歳よりコンテンポラリーダンス、クラシックバレエを始め、中村しんじ、川野眞子の作品に参加する。10年より矢内原美邦ダンス公演に参加。 ダンサーとしてヨコハマコンペティション ソロシニア部門第3位受賞。

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絹川明奈 Kinukawa, Akina

石川県野々市出身の28歳。5歳より前多敬子・田中勉バレエ教室で踊り始める。全国舞踊コンクールに多数参加し入選、入賞。また高校生の時には竹吉勇己、木藤由麻にHIPHOP、小坂典子にJAZZ DANCEを師事。その後日本女子体育大学舞踊学専攻へ入学を機に上京。在学中はモダンダンス部に所属し全国大会にて受賞多数。また、この頃コンテンポラリーダンスと出会い興味を持つ。卒業後、社会とつながりながらダンサーとして活動するべくニブロール所属となる。現在は神奈川県立神奈川総合高校でダンスの授業を担当。教える・伝えることにも力を入れながらダンスを続けている。


山下彩子 Yamashita, Ayako

桜美林大学卒業後、伊藤キム主宰の「輝く未来」に参加。11年より自身が主宰するカンパニー「サラダラ」の活動を再スタート。11年こまばアゴラ劇場サマーフェスティバル汎、今年2月には吉祥寺シアターダンスインパクトvol.3に参加。 太い骨と頑丈な筋肉で、日々ダンスに挑み続ける。
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クリタマキ Kurita, Maki

高校よりダンスを始め大阪体育大学へ進学。卒業後09年よりソロを中心に活動を開始。これまでにこまばアゴラ劇場サマーフェスティバル汎や京都アトリエ劇研にて単独公演をおこなう。また今年、ダンスがみたい新人シリーズに出演する。

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+++石井達郎(舞踊評論家)
鬱積した感情を若者たちの「身体の風景」に還元するようなニブロールには、いつも注目してきた。
既存のダンス語法に頼らないばかりか、映像とサウンドとダンスがそれぞれ独立した魅力を放ちな
がら展開する方法論はポップでありながら、切実である。矢内原美邦は『前向き!タイモン』で岸
田戯曲賞を受賞するなど、このところ劇作でも特異な才能を発揮していたが、彼女がダンスから少
しでも離れていると、日本のコンテンポラリーダンスに大きな隙間ができてしまうように感じるの
は私だけだろうか。 『see / saw』はそんな空白を埋めてあまりある、本格的なダンス作品。今と
いう時代と社会に向けて、怒りと哀しみと空虚感が炸裂する。その根底に三・一一があるのは明ら
かだが、作品は具体性を排し、イメージの強度に訴える。生と死、記憶と現実、今見てること
(see)と過去に見たこと(saw)。まさに「シーソー」のように揺れ動くコインの両面ーそんな
二つの世界を分割するように白と黒を対比させたカミイケタクヤの美術が秀逸だ。舞台中央に置か
れ、包帯をぐるぐる巻きにされたシーソーは、本作を象徴すると同時に、すべての傍観者でもある
のだろう。 冒頭、舞台奥で静かに動く小山衣美の中世的な存在感が魅力的だ。すぐに三名の少女が
加わり、白地に朱の入った衣裳で楽しげに戯れる。しかしそのすべてがやがて訪れるカタストロフ
の前兆である。暗転になり風船がバチバチと破裂するあたりから、舞台は白から黒へ。すさまじい
勢いで動く集団の衣裳は黒尽くめ。背景に映し出される住宅地や海は、かつてそこにあった光景な
のか。中盤、全員の絶叫シーンがえんえんとつづく。叫びつづける以外の表現をすっかり閉ざされ
てしまったかのように。 ニブロールを中核で支えてきた高橋啓祐の映像は、実写・アニメ・抽象を
巧みに使い分け、作品に鮮やかな色づけをする。また、スカンクのサウンドは、観る者の心をえぐ
るように作品を引っ張ってゆく。矢内原、高橋、スカンク、カミイケが共にひとつの方向性を共有
しながら、それぞれの領域で創造力を全開しているのが快い。 家族の者、周りの者が亡くなり、見
慣れた光景が崩壊し、すべてが眼の前から瓦礫のように崩れ落ちてゆくとき、人は何ができるのだ
ろうか。そして舞踊家はどこを見つめ、何を表現するのか。一部の舞台人が取り上げているテーマ
ではあるが、ニブロール結成以来十五年の蓄積を、安易な同情や感傷をしりぞけながら矢内原が渾
身の力で投げかけた。欧米やアジアの他の国々とは違う独自の展開をしてきた日本のコンテンポラ
リーダンス。そこからだからこそ生まれたと思わせる傑出した作品である。

+++榎本了壱(アートディレクター)
ヨコハマ創造都市センターで、Nibrollのダンス「see/saw」を見た。ニブロールは、常に何かを強
く訴えかける衝撃力のある作品を発表し続けているが、今回の「see/saw」はその中でもベストワ
ークと評していい素晴らしい作品だ。(中略)世界の終わりに立ち 会っているような絶望と、しか
しそれでも林檎の種を蒔こうとするような若々しいアンビバレンツ。ヨコハマ創造都市センターの
ギリシャ風な白い巨きな列柱 が、死を祀る斎場にも見えてきて、彼らの熟練していない動きや発声
が続く。それがかえってダンス作品という既成の完成度を拒絶しながら、リアルで真摯な答えのな
い行為の連続から、切ない程の共感をオーディエンスに投げかけて来る。矢内原美邦はまた一段と
成熟している。そして高橋啓祐とのコラボレーションは、Nibrollというユニットを、確実にインタ
ーナショナルな地平へと、ライジングさせた。必見の作品である。

+++佐々木敦(評論家 / HEADZ代表 )
ヨコハマ創造都市センターにてニブロール『see/saw』。矢内原美邦らしさを存分に注ぎ込み、更
に新生ニブロールとしてのネクストディメンションを鮮やか に提示した、恐るべき舞台。とにかく
一個の作品としての凝集力が並外れている。映像も照明も光も完璧。2012年ニッポンの「痛み」の
ダンス。ここ数年の矢内原ダンス作品の中でも最も成功していると僕は思った。ナイーブな少女の
傷だらけの内面を、壊れかかったまま激しく痙攣し続けるティーンエイ ジのからだを抱えたまま、
ニブロールは大人になった。これなら矢内原美邦の未来は明るい。いや、彼女のダンスは明るくな
い未来に光を射すだろう。

+++四方幸子(キュレーター)
ニブロールの《see/saw》。身体、音、映像、影‥何もかもが極限へと相乗していく、その壮絶さ
に震撼。3.11を想起させずにはいられない。作品として昇華されながら、ここまでガツンとぶつけ
てきた意志とエネルギー、そして何よりその実現を喜びたい。 

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4日間でニブロールのメンバーと共に舞台作品「see/saw」を作り、 公演に出演するダンサーを募集します。

オーディション→*募集〆切りました。
【日 時】 8/25(月) 18:30~
【会 場】 金沢市民芸術村アート工房  石川県金沢市大和町1-1 ▶map
【受講料】 オーディション合格者は、受講料として 3,000円を徴収いたします。

下記ダンサーを募集します。

【応募方法】
件名を「ニブロール ダンサー募集」とし、
(1) 氏名、ふりがな (2) 性別(3) 年齢 (4) 生年月日 (5) 電話番号 (6) メールアドレス (7) 志望するダンサーの種類(上記の1or2) (8) ダンスの経験・所属・舞台経験等 (9) 志望動機を明記のうえ、メールにてコチラまで!

【応募締切】 8月18日(月)

【お問合せ先】
(公財)金沢芸術創造財団 事業課  TEL 076-223-9898(平日9:00-17:00)  FAX 076-261-5233

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All Photo: Hideto Maezawa