PROFILE - MIKUNI YANAIHARA PROJECT -

2005年、矢内原美邦が「演劇作品」を制作することを目的に立ち上げたソロプロジェクト。 些細にみえる日常を大胆に切り取りスケッチした物語群の中に、ノスタルジーを喚起する往年の日本アニメへのオマージュや自らが作詞する淡い青春ラブソングを織り交ぜ、意識的に「演劇的」でありながらも、様式に束縛されない手法が注目を集める。その圧倒的な情報量と運動量で知られる舞台では、劇画的にデフォルメされた自己中心的なキャラクターたちが、言葉と体をダンスするかのごとく高速回転させドライブ感に溢れた魅力が生まれる。 05年吉祥寺シアターこけら落とし公演として『3年2組』発表。07年ソロダンス作品『さよなら』で第一回日本ダンスフォーラム賞を受賞。08年『3年2 組』で愛知県芸術劇場演劇フェスティバル参加。09年NHKシアターコレクションに出場。10年『前向き!タイモン』でシェクスピア・コンペにて優秀賞受賞。12年『前向き!タイモン』で第56回岸田國士戯曲賞受賞。


WORKS

「東京ノート」

2016. Mar. 吉祥寺シアター10周年記念公演 @吉祥寺シアター

演出:矢内原美邦  作:平田オリザ
出演:石松 太一、稲継 美保、笠木 泉、門田 寛生、川上 友里、川田 希、河村 竜也、熊谷 祐子、酒井 和哉、重岡 漠、島田 曜蔵、立蔵 葉子、
永井 秀樹、沼田 星麻、橋本 和加子、兵藤 公美、細谷 貴宏、光瀬 指絵、緑川 史絵、守 美樹、森山 貴邦

舞台監督:鈴木康郎/映像:高橋啓祐/照明:南 香織/宣伝美術:石田直久/企画・制作:プリコグ
助成:芸術文化振興基金/協力:青年団/特別協力:急な坂スタジオ

共催:公益財団法人武蔵野文化事業団
主催:ミクニヤナイハラプロジェクト

超高速な発話と激しい動きが特徴の「やかましい演劇」ミクニヤナイハラプロジェクトが「静かな演劇」と評される平田オリザの名作に挑む!
1994年に初演され、20年以上経っても色褪せないどころかその先見性の高さに驚かされる『東京ノート』が、新たなアプローチで蘇る!
今ここからどんな東京が、どんな世界が見えるだろうか。。。



photo : Hideto Maezawa


「桜の園」


2014. Nov. フェスティバル/トーキョー2014参加作品@にしすがも創造舎
2016. Oct. 中国烏鎮演劇祭参加

作・演出:矢内原美邦
出演:笠木 泉、鈴木将一朗、光瀬指絵、山本圭祐、川田 希、川上友里、菊沢将憲、佐々木 至

舞台監督:鈴木康郎/映像:佐藤信介/美術:曽我部昌史/照明:伊藤 馨/衣装:スズキタカユキ/ヘアメイク:河西幸司/音響:相川 晶(有限会社サウンドウィーズ)、木下真紀/宣伝美術:石田直久、EBI/制作:奥野将徳(precog)、植松侑子・横堀応彦(フェスティバル/トーキョー)

製作:ミクニヤナイハラプロジェクト
共同製作・企画・主催:フェスティバル/トーキョー

1本の老木をめぐる3つの物語。時代の転換点に浮かび上がる多様な思考。
チェーホフの名作『桜の園』をベースに矢内原美邦が独自の視点で描いた1本の老木をめぐる3つの物語。この木を伐るか、否か。そこにはそれぞれの主張があり、賛成があり、反対があり、いくら言葉を費やしても果たしてそこに正解はない。言葉は意味を失い、時間を失い、どこか遠くのほうをさまよいはじめる。もう誰も信じない。君が「そうだ!」というまえに、私はその言葉を意味をかっさらってみせる。不確かな未来へと漕ぎだす私たちに送る物語。

 


「シーザーの戦略的な孤独」

2014. Jan @大阪市立創造館(芸創セレクション参加)
2014. Feb @吉祥寺シアター
2015. Nov @Thong Lor Art Space(Bangkok Theatre Festival 2015、最優秀女優賞受賞 : Ornanong Thaisriwong

作・演出:矢内原美邦
出演:足立智充、光瀬指絵、本多力
(2015バンコクバージョン)川田 希、Ornanong Thaisriwong、Pavinee Samakkabutr

映像:高橋啓祐/舞台監督:鈴木康郎/照明:南香織/チラシビジュアル:竹本真紀/宣伝美術:石田直久/企画運営・制作:precog
主催:ミクニヤナイハラプロジェクト、大阪市(大阪公演)/共催:公益財団法人武蔵野文化事業団(東京公演)/特別協力:急な坂スタジオ

シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」を題材に、矢内原はこの物語を「自ら孤独を選んだ人々の物語」と読み解き、彼らがそれぞれの「憧れ」を抱くことをきっかけに変わっていく孤独な姿を現代に置き換えて描きます。

photo : Hideto Maezawa

 


「静かな一日」

2013.Oct @黄金町エリアマネージメントセンター(スマートイルミネーション横浜参加)
2013.Feb @AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)、 @吉祥寺シアター

作・演出:矢内原美邦
出演:川田希/松永大輔

映像・美術:高橋啓祐/照明:南香織/舞台監督:鈴木康郎・湯山千景/チラシ:幸田千依・石田直久/制作:percog
主催:ミクニヤナイハラプロジェクト/共催:アイホール・吉祥寺シアター
助成: 芸術文化振興基金・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)/特別協力:急な坂スタジオ

これは、 どこにでもある町の、よく眠ることができる夫婦の、 ある「静かな一日」のお話です。 でも本当は「静かな一日」など、どこにもありません。 私たちが住んでいる現実に「静かな一日」が、どこにもないっ!のと同じように。 私たちは後ろ向きになって、 徐々に、南に傾いていく家を見上げながら、 日陰を選んで、畏れを飲み込み、日々を生きます。 形は決して残りません。形は決して残りません。 日々を、私たちはただ日々を積み上げて、 そ れ で も っ! と、大きな声をはりあげて、おもしろおかしく生きるのです。

 


「前向き!タイモン」

第56回岸田國士戯曲賞受賞作品

2010.Dec @京都府立文化芸術会館 (京都府立文化芸術会館シェイクスピアコンペ優秀賞受賞)
2011.Sep @こまばアゴラ劇場、京都府立文化芸術会館
2013.Jul @AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
2013.Aug @せんだい演劇工房10BOX、@UDOK.(福島県いわき市)、@こまばアゴラ劇場
2013.Sep @七ツ寺共同スタジオ(愛知県名古屋市)

作・演出・振付:矢内原美邦
出演:鈴木将一朗、笠木泉、山本圭祐

舞台監督:鈴木康郎、湯山千景/映像:高橋啓祐/舞台美術:細川浩伸(急な坂アトリエ)/照明:南香織/チラシイラスト:Jignasha Ojha/宣伝美術:石田直久/制作:precog
主催:ミクニヤナイハラプロジェクト/提携:こまばアゴラ劇/特別 協力:急な坂スタジオ

シェイクスピアの「アテネのタイモン」をベースに、どれほど辛く厳しい人生でも前向きに生きる人々の生き様を描いた現代版タイモン。
2010年12月に行われた京都府立文化芸術会館主催の「シェイクスピア・コンペ」では優秀賞を受賞。第56回岸田國士戯曲賞受賞作品。

前向きに生きる。これは簡単なことではありません。 前向きに努めながらも、なにひとつ報われないまま人生が終わることなど よくあることです。 だからって後ろ向きはまっぴらごめんです。 前のめりになるくらい前向きに人生を歩もうではありませんか? 後ろ向きな人生が、あることをきっかけにパッ!と前を向いたときに生み出される、 生きることへのエネルギーを私は信じたいです。 これは不幸などん底にいる後ろ向きな男が前向きに人生を見つめなおす作品、 それが『前向き!タイモン』です。

■第56回岸田國士戯曲賞 審査委員長・野田秀樹選評(抜粋)
私は今回は、矢内原美邦氏の『前向き!タイモン』を推した。 無責任な言葉の羅列でイメージを喚起させ、無責任にイメージがぶつかり合う。それだけで、ストーリーが紡がれていく。久しぶりに登場した、その種の作家だ。私はこういう作品に演劇の可能性を見る。 近頃のテレビや映画の脚本にも見えがちな一連の、いわゆる巧(うま)い若手の作家群の作品に私は欲求不満である。 この矢内原氏の「例え話」は、どれもこれも面白かった。とりわけ、「農民」が語る『空から落ちてきた子供(りんご)と大きな手』の話は、それだけで壮大な物語にもなるほどのイメージだ。しかも、子供は林檎のことなのだと、しつこく繰り返すことで、比喩と言うものをさらに括弧付きにしてしまう、これはうまい。しかもこの上手さは、近頃の若い作家の、どこで覚えたのか知らないが、マニュアルのように書いてくる巧さではなくて、伸びやかである。つまり無責任に楽しんで書いている。舞台を好きな人間の現場から生まれてくる、しなやかで無責任なうまさである。と確信する。責任感のあるうまさなど見せられても、わたしは戸惑ってしまう。 そして、ドキッとするようなシンプルで美しい言葉にも出会えた。 「誰かが生きたかった明日が、僕の明日かもしれないから」 「キミとぼくが出会う前に進みだす時計がある」 これらの言葉に貫かれているのは、ハスにしかものを見られない一群の作家(私などはその中に入るのだろうが……)に対する、ポジティブなアンチテーゼであり楽観論である。その意味で、曲者(くせもの)が揃いすぎた選考委員たちの中で彼女の作品が支持されなかったのもうなずける。

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「幸福オンthe道路」

2010.Oct @STスポット(ワークインプログレス公演)
2012.Mar @横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール

作・演出・振付:矢内原美邦
出演:光瀬指絵、鈴木将一朗、NIWA、守美樹、柴田雄平、たにぐちいくこ、米田沙織

舞台監督:鈴木康郎・湯山千景/映像:高橋啓祐/舞台美術:細川浩伸(急な坂アトリエ)/照明:木藤歩/チラシイラスト:アベミズキ/宣伝美術:石田直久/制作:precog
主催:ミクニヤナイハラプロジェクト/共催:横浜赤レンガ倉庫1号館 (公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)/ 助成:芸術文化振興基金/後援:神奈川新聞社・tvk・RFラジオ日本・FMヨコハマ・横浜市ケーブルテレビ協議会/特別協力:急な坂スタジオ/協力:STスポット

人は人を殺すけれど、同時に人は人を救いたいと思う。 このふたつのことはきっとつながっている。 死に向かう人間を救いたい人々の 記憶と妄想、嫉妬と許し、やさしさと憎悪が錯綜する。 矢内原美邦が描く新たな視点からとらえた 生と死をめぐるサスペンスドラマ。

■「幸福オンザ道路」レビュー  松井みどり(美術評論家)リバティーンズ2010.10月 No.3
矢内原は「生きることも、死ぬことも、もう外の世界に求めなくていい。ここで、この部屋で、物語は始められるのだから」と述べた。観客自身が「今ここ」の出来事に反応し、断片を拾う過程のなかで発話や動作の集積から意識が立ち上がる様を追体験させる矢内原の演劇の時間は「死に向かって生きる」人間の一瞬一瞬の積み重ねの実体化なのだ。それは「ひとつの身体がつみあげる時間の蓄積、記憶感、距離感、365日のあり方みたいなものを表現したい」という彼女のこれからのダンス観とも深く共鳴している。

 


「五人姉妹」

2008.Jul @こまばアゴラ劇場(ワークインプログレス公演)
2009.Jun @吉祥寺シアター

作・演出・振付:矢内原美邦
出演:稲毛礼子、笠木泉、高山玲子、光瀬指絵、三坂知絵子、山本圭祐

音楽:中原昌也/衣装:スズキタカユキ/映像:高橋啓祐/舞台監督:鈴木康郎/照明:森規幸/チラシビジュアル:牧かほり/宣伝美術:石田直久/制作:precog
主催:ミクニヤナイハラプロジェクト、財団法人武蔵野文化事業団/協力:急な坂スタジオ

「習慣を獲得すること」をテーマに、五人の姉妹と一人の執事が織りなす日常生活が淡々と紡ぎ、チェーホフの『三人姉妹』に着想を得た矢内原が、繰り返す日々のその先にある「生きてゆくこと」の本質に迫る。習慣としてのモチーフを日常ににおきかえる。 現代社会が持つ病は今ではいわゆる習慣になっている。 それがよい習慣だろうと、悪い習慣だろうと 人は生きているから習慣を習得できる。 生きていこう、白い記憶のなかで、故郷がどこにあるのかもわからないけど、 確かに故郷を思って『ララララ♪』と五人で歌うよ。

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「青ノ鳥」

2007.Mar @STスポット(ワークインプログレス公演)
2007.Sep @吉祥寺シアター
2009.Feb @NHKシアター・コレクション

作・演出・振付:矢内原美邦
出演:足立智充、有坂大志、稲毛礼子、柴山美保、鈴木将一朗、高山玲子、長谷川寧、渕野修平、光瀬指輪、矢沢誠、山本圭祐

映像:松本力、高橋啓祐/音楽:桜井圭介、スカンク/衣装:安食真/舞台監督:鈴木康郎/照明:森規幸/音響:牛川紀政/チラシビジュアル:河合克夫/宣伝美術:石田直久/制作:precog
主催:ミクニヤナイハラプロジェクト、財団法人武蔵野文化事業団/ 協力:急な坂スタジオ

STスポットでの準備公演を経て『3年2組』に続いて吉祥寺シアターにて本公演。本作品で、第52回岸田國士戯曲賞最終候補にノミネートされ、また2009年には英訳された「THE BLUE BIRD」が、ニューヨークを拠点に活動する劇団"WITNESS RELOCATION"によって上演された。

場所はどこだかわからない。ただそこは深い森の中。時代はいつだかわからない。ただそれは鳥が絶滅した世界。鳥類の絶滅は人類から空を見上げることを奪った。国の使命を受け、森に派遣された7人の学者たち。彼らの任務はその森の奥地に棲むという最後の鳥「青い鳥」を探し出し、鳥類の繁栄を臨むこと。「青い鳥」は夜と朝が入れ替わるわずかな時間の間にしか飛ばない。ほ乳類、昆虫類、植物、そして鳥類の研究を専門とする7人の学者たちは、それぞれに鳥類絶滅に対する自説を展開しながら、夜と朝の間のそのわずかな青の時間に深い森の中を移動する。ある1日。そして、やがて朝がやってきて、彼らは空を見上げる…。青の時間のなかで空を見上げる。 ノスタルジーを喚起する役者全員によるギターの生演奏と歌、スクリーンに台詞と同じく高速で流されるテキストなど、ミクニヤナイハラプロジェクトならではの手法により、大人になりきれない人々の物語を表出させた。 大人になりきれないまま社会に準じて生きている現代の若者は、青い鳥症候群と呼ばれている。そんなディスコミニケーションを言葉や身体におとしこんでいく新しい演劇のスタイルを提示した作品。

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「3年2組」

2005.07 @吉祥寺シアター
2008.04 第8回愛知県芸術劇場演劇フェスティバル参加@愛知芸術文化センター

作・演出・振付:矢内原美邦
出演:足立智充、稲毛礼子、上村聡、鈴木将一朗、関寛之、渕野修平、三坂知絵子、矢沢誠、山本圭祐

映像:高橋啓祐/音楽:スカンク/衣装:広野裕子/チラシビジュアル:カネコアツシ/舞台監督:横尾友広/瀬川有生/照明:森規幸/音響:すがいかずや/宣伝美術:石田直久/制作:precog
主催:ミクニヤナイハラプロジェクト、財団法人武蔵野文化事業団/協力:急な坂スタジオ

矢内原美邦が「言葉」と「身体」の関係性に特化して、演劇的なアプローチから、ダンス・台詞・歌・映像など舞台を構成する要素をスリリングかつ大胆に交錯させることに取り組むソロプロジェクト「ミクニヤナイハラプロジェクト」の第1弾。 矢内原独特の演劇観で「言葉」を使っての身体表現に本格的に取り組み、超高速で台詞を発話させることにより、言葉そのものがダンスをするような、これまでにないドライブ感あふれる劇空間を作り出す。

舞台は東京近郊のとある有名進学高校。その校庭に樹齢60余年にもなる大きなイチョウの木がある。ある日その木の根元に埋めたタイムカプセルを掘り起こすべく、10年ぶりに3年2組の卒業生8人と、当時の担任教師が集まった。それぞれの成長とともに、当時の思い出が蘇り、懐かしい日々が思い描かれていくのだが、わずか10年の歳月はそれぞれの思い出に小さなズレを生じさせていた。そのズレは、時間を遡れば遡るほど、明確な食い違いになり、物語を錯綜させる。あんなこと本当にあっただろうか?それは単なる記憶違いではないだろうか?なにが本当で、なにがウソか。やがて物語は登場人物たちの錯乱した記憶に巻き込まれ、「そもそもタイムカプセルなんて埋めただろうか?」という記憶に突き当たる。自分の記憶を確かめるようにして、イチョウの木の根元を掘り起こしはじめる8人…。 私たちはいったいなにを忘れてきたのか。そして敗戦後60周年を迎える今年、私たち日本人はなにを忘れ、なにを思い出してきたのか。タイムカプセルを掘り起こすように、そのことを個々人が改めて思い起こさせることができないだろうか。歴史と流れ去る時間に埋もれていく記憶と、人々の不確かな記憶が絡み合う。

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