「NO DIRECTION」 2006

「NO DIRECTION」Digest

2005. Oct at 東京都写真美術館(インスタレーション展示)
2006. Aug. 「大地の芸術祭 越後・妻有トリエンナーレ」参加
      at まつだい農舞台
2006. Oct. at 福岡イムズホール
2007. Mar. at パナソニックセンター東京
2008. May. at 桜美林大学 GALA Obirin2008
2008. Jun. 「Singapore Internationl Festival of Arts」参加
      at Victroria Theatre
2009. Mar. at 愛知県芸術劇場

 

演出・振付 : 矢内原美邦
映像 : 高橋啓祐
音楽 : スカンク/SKANK
衣装:矢内原充志
照明:滝之入海
美術:久野啓太郎
ヘアメイク:中村兼也

出演 :
たかぎまゆ 佐川智香 木村美那子 カスヤマリコ 陽茂弥
唐鎌将仁 岡田豊 原田悠 足立智充 藤瀬のりこ 山本圭介
黒田杏菜 福島彩子 矢内原美邦

photo:Soumeido

Flyer design:Keiko Itakura

- Concept -

東京都写真美術館でのインスタレーション(2005)を皮切りに、越後妻有トリエンナーレ(2006)、福岡公演(2006)と、さまざまな形で提示してきた作品。

「世界はいま、ある一つの方向に向かおうとしているけれど、君と僕の見えている景色は同じではない。世界はひとつ、ではない。」をコンセプトに、9.11以降の世界が「ある一つの価値観」に向かって進んでいるような社会状況の中で、それぞれの距離と関係性と、そのあり方を問う。

方向を失う、道に迷う、彷徨う。衝突、軋轢、葛藤。ディスコミュニケーションの現在形と、「価値観はバラバラで無数にあって、でもどこかつながっているかもしれない」という希望について。

世界はひとつ、ではない。

見えている世界は、どこまでもバラバラで、でもどこかで繋がっている。

- Review -

「“今”起こっていること。-矢印から円環へ―」亀田恵子 + dance+

「NO DIRECTION」中西理(演劇コラムニスト) + 中西理の下北沢通信

「NO DIRECTION」Denise Ong + The Urban Wire.com

 

石井達郎(舞踊評論家)朝日新聞2007年3月19日掲載 *一部抜粋

 もともと何もないスタジオに、客席が斜面として配置され、客は座布団を敷いて座ることになる。座る位置を示す四角形の点は、舞台の床にも連なって描かれ、舞台・客席という境界が希薄になる。観客もパフォーマンスの一部として、この空洞に入れられた感じだ。ゆったちとカーブする巨大な壁面に、高橋啓祐の映像が投影され、目を奪う変容を遂げる。音楽担当のスカンクも、テクノ、ロック、ノイズからポップスまで、映像に拮抗したり、それを誘発したり、実に多彩なサウンドを作り出す。この2人は、私の知る限り今までで最高の仕事をした。時系列に周到に構築された音と映像がかなりの迫力で進行する中で、ダンサーたちは「踊る」というより、子供がじゃれあってはけんかするような、独特のアクションを展開してゆく。もはや意志を持った主体ではない。記号化した身体である。矢内原は、音と映像のうねるような流れの中に、その記号たちを驚くほどうまく配置し、縦横無尽に動かしている。彼女もまた、ニブロールの集大成ともいえる充実した振付けをした。

 

祐成秀樹 読売新聞2007年3月13日掲載 *一部抜粋

 3年ぶりの東京公演の題名は「無方向」という意味。方向性を定めて生きようとしない日本人の心性に着目した作品のようだ。
 湾曲した壁面に映し出される高橋啓祐の手がけた映像が印象的だ。ある場面では高層ビルが林立する都会の映像を突然逆転させて車や人々を降り注がせる。別の場面では森林を鳥瞰した後、視点を下げて無数の樹木や草花が茂る内部に迷い込ませる。画像の奔流によって、世界は一面だけではとらえられず、多様性に富むことを目に焼き付けた。
 ダンサーたちは強い意志を感じさせる踊りは見せず、他者にぶつかられ、引っ張られ、避けようとして身体を震わせる。矢内原はこうしたヒステリックな動きをスピーディーに結びつけ、心を通わせない人々が織りなすドラマを紡ぐ。
 視覚イメージや楽曲は一方向に定まらず場面ごとにガラリと変わる。一瞬、一瞬に膨大な要素が詰め込まれ、一見しただけでは読み解けない。情報があふれ、人々が振り回される姿は、今の東京の縮図のようだ。
 終盤、無数の人々の影が壁面を埋める。最初、影の群れは好き勝手に動くが、やがて列を作り一つの方向に歩みだす。手前のダンサーたちも、もみあった後、行進するように動く。多様性を帯びているようなのに、実は一つの意志に操られていた。現代社会の実相を暴いたような鮮烈な場面に戦慄を感じた。

- Credit -

舞台監督:横尾友広
宣伝美術:板倉敬子
記録写真:聡明堂

主催:ニブロール
       あいちトリエンナーレ実行委員会(愛知公演)
助成:芸術文化振興基金 東京都文化発信事業
特別協力:急な坂スタジオ
企画制作協力:愛知県文化情報センター

制作:伊藤剛
制作協力:precog alfalfa

 

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+ 2005 東京都写真美術館

+ 2006 福岡イムズ公演

+ 2008 シンガポール公演

+ 2009 愛知公演


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