「COFFEE」 2002
「COFFEE」Digest 2002
2002年
Feb. at 新宿パークタワーホール(東京)
Jun. 「Fusion Festival」参加(ドイツ・ベルリン)
Aug. at 上田劇場(長野)
Aug. at デラックス(東京)
Aug. at アートコンプレックス1928(京都)
Sep. 「Tokyo Contemporary Dance 2002」参加
at Maison de la CultureJapon a Paris(フランス・パリ)
at The Bangkok Play House(タイ・バンコク)
at The Shiriram Center(インド・デリー)
2003年
Jan. 「Japanese Contemporary Dance Showcase 2003」参加
at Japan Society(アメリカ・ニューヨーク)
Feb.「横浜ダンスコレクション」受賞者公演 at 横浜ランドマークタワーホール
Mar.「 Yuri Dance Festival」参加(オランダ・ロッテルダム)
Apr. 「Triple Bill Show Case Tour」
at Tanzhaus nrw(ドイツ・デュッセルドルフ)
at Stadthalle Hagen(ドイツ・ハーゲン)
at Melkweg(オランダ・アムステルダム)
「COFFEE」Promotion 2018
2009年
at Yerba Buena Center for The Art(アメリカ・サンフランシスコ)
at The Dance Center(アメリカ・シカゴ)
at Wexner Center for The Art(アメリカ・コロンバス)
2018年
at 横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
横浜ダンスコレクション2018 オープニングプログラム
演出・振付 : 矢内原美邦
映像 : 高橋啓祐
音楽 : 加藤由紀
衣装:矢内原充志
照明:滝之入海
制作:伊藤剛
COFFEE 2002ver.
出演:たかぎまゆ 手塚夏子 鶴見未穂子 内田しげ美 藤瀬のりこ 岩渕貞太 関寛之 矢沢誠 石立大介 矢内原美邦
COFFEE 2009ver.
出演:カスヤマリコ 黒田杏菜 福島彩子 高橋幸平 関寛之
photo : Yasuyuki Masunaga
COFFEE 2018ver.
出演:上村有紀 鈴木隆司 友野翔太 昇良樹 間瀬奈都美 望月めいり 八木光太郎
photo:Yoichi Tsukada
Flyer design:enamel.
- Concept -
私たちの日常生活の中で無意識のうちに交差する多くの「曖昧な境界線」について。
いつも私たちは無意識にその境界線を越えている。 その境い目はいつも曖昧。 たとえば、私たちはいつからコーヒーを飲むようになったのだろうか? 多くの大人たちは、ある一定の年齢になるまで子どもにはコーヒーを飲ませないようにしているが、私たちはいつしかその境界線を軽々と越えて、コーヒーを口にする。それはいつだったろうか? 私たちが大人になったのはいつだったろうか? テレビを見れば、遠い外国では戦争が起こっている。ブラウン管の向こうにある戦争と、こちら側にある日常。ビルが崩れていくのを見たとき、その越えがたい明確な境界線が少しずつ曖昧になっていく気がした。そこには境界なんてなくって、あっちとこっちは地続きなんだということをはっきりと感じる。
そうしてテレビに映る戦争を見ながら、今日もまた私たちはコーヒーを飲むんだ。こんなふうに、いつしか誰もがどこかでその境界線を越えるんだろう。あれ、いつのまに? 不確かな記憶、忘れ去られた日常、いつかの夢、誰かの悲劇…。
ちゃんと一歩。忘れても覚えてる。その線を踏ん付けたこの足は覚えてる。そして今日もまた私たちはコーヒーを。
2018年公演時のパンフレットより
人が社会と無縁ではいられないように、この作品もまた当時の社会や時代背景の影響を強く受けている。初演が行われた2002年は世界的な不況が始まったり、9.11があったり、テロとか戦争が私たちの日常にまで食い込んできたりして、輝かしい未来だったはずの21世紀が何もいいことないじゃん!という想いと共に始まったばかりの時代である。
私たちは20代だった。若かった。作品を発表すれば、支離滅裂、意味不明…そんなふうにあちこちで言われた(それはいまでもあまり変わらない)。それでもあの時あの時代、私たちが経験している今を自分たちに納得させるために何かを表現する必要があった。何が正しくて何が間違っているかなんて、その時はわからない。それが今後の人生にどんな影響を与えるかさえも。経験はいつだってそういうものだ。
いま考えてみれば確かに支離滅裂で意味不明だったかもしれない。けれども人と人が向き合う時、そこにはなんの一貫性も整合性もない。誰も合理的で確実な経験なんてしない。人生では原因と結果はいつも結びつかない。だからこそ何かを叫ぶことが必要になってくる。それはいつの時代もどこの場所でも同じだろう。
あれから17年経って時代は変わった。今回の出演者たちはあの頃の私たちと同じ世代だ。彼らがこの時代をどうやって生きているのかをこの作品をとおして表現してくれると思う。あの時と同じ衝動で、あの時と違う風景を見たいと思う。
photo : Keisuke Takahashi
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