「Real Reality」 2015
2015. Jan. at シアタートラム(東京)
2015. Feb. at 上富田文化会館(和歌山)
2015. Jun. at 愛知県芸術劇場(愛知)
2015. Aug. 「大地の芸術祭・越後妻有トリエンナーレ」参加
at 上郷クローブ座
2015. Aug. 「Singapore Internationl Festival of Arts」参加
at Tanjong Pagar Railway Station(シンガポール)
2015. Dec. 「高松メディアアート祭」参加
at サンポートホール高松(香川)
2016. Jan. at Teatre ARENA(インドネシア・スラカルタ)
2016. Jan. at Youth Theatre(ベトナム・ハノイ)
2017. Mar. at Institut Kesenian Jakarta(インドネシア・ジャカルタ)
「Real Reality」Digeest
演出・振付 : 矢内原美邦
映像 : 高橋啓祐
音楽 : スカンク/SKANK
美術:カミイケタクヤ
出演 :
小山衣美 石垣 文子 森井 淳 鶴見未穂子 矢内原美邦
インドネシア・スラカルタ公演出演:Agus Margiyanto
ベトナム・ハノイ公演出演:đào thụy thúy vân
インドネシア・ジャカルタ公演出演:D. Maharani Pane, Korinta Cyntia Delfi, Ciota Inkani Tarigan, Rayi Utaminingrum, Sylvi Dwinda Aurelia, M. Anugrah Sepdiansyah, Putri Ayu Wulandira Handayani, Fitri Anggraini, Irfan Setiawan
アンサンブル出演:田辺舞 堀江善弘 渡邊智美 清水彩加 竹内桃子 藤本茂寿
Flyer design: Okamoto Tsuyoshi+ Takuya Kamiike
- Concept -
身体を省略し拡張する
人はできるだけ動かなくてすむようにテクノロジーを駆使する
それに抗うつもりはない 楽がいい
それでもどこまで省略しようとするのか ふと不安になる
人々の想像は遥か彼方にある場所や過去や未来にある時間を
あたかも今ここにあるかのように具現化しようとする
それでも人は遠くでおこっている悲劇を想像することすらできない
そこにある身体を共有することができない
なにもない場所に立ち リアルのない時間を過ごし
言葉のない声を聞き カラダのない人に出会う
死はすぐそこにあり 無限で 確定的で
生きることはいまここにあり 限りがあり 不確定な未来にある
身体がなくてもいい時代を生きる私たちが実感できる身体をさがす
- Review -
東京芸術文化創造発信助成活動報告会「ニブロールのアジアでの挑戦」
+ アーツカウンシル東京
前田愛実「価値観を覆してきたダンス界の"怒れる子ども"Nibrollは、2015年に何を観せるのか」
+ CINRA.NET掲載
レザ K. ダルマワン「テクノロジーのネガテイブ効果」
+ SOLO EVENT
(抜粋〜)遠くのものを近づけ 近くのものを遠ざける」最近良く耳にするフレーズである。今の時代は、この言葉がよく現れるようになるのと時を同じくして、 ますますテクノロジーユーザー(中でも特にスマートフォン)が異常なほど増加している。人間の生活においてガジェットの存在が、意識的か無意識 か、所有者を孤独にしている。社会生活においてだけではなく、魂と肉体からも疎外されていってるのだ。人間の孤独感を、矢内原美邦は表現しようと 挑戦していた。彼女とNibro(ll 日本、東京からのコンテンポラリーダンスグループ)の名のもとに集結した仲間たちは、『リアルリアリティ』と題したダン ス公演を通じて、既述した習慣に対して問いを投げかけていた。パフォーマンス『リアルリアリティ』2016年1月10日日曜日タマン・ブダヤ・ジャワ・ テュンガー・テアトル・アレナに於いてその夜のパフォーマンスは速いテンポで進行していった。 オープニング、様々な種類のビデオマッピングゲームが観客の前に現れる。その中に、二進数システムコンピューターのような数字が見えた。まさにそ の時から、人間の「狂気」が出現しはじめたのだ。ダンサー達の柔軟な肉体、流れる機械的音楽の速いテンポによる衝突、目まぐるしい変化―――何 層にも着ている服を脱いでいく場面が提示され、観客はどんどん人間のダークサイドに引きずり込まれた。人間にとって望ましい社会性が、消去され 始まる。テクノロジーによって新しい「世界」が創造されていく。それは無差別に、アーテイストから始まり、運動選手、オフィスワーカー...。そのすべて がテクノロジーの揺り籠の中でぐっすり眠り込んでいく。それどころか、テクノロジー時代では、人間は自分自身を神とみなしていく。 日を追うごとに、テクノロジーは益々人間に猿ぐつわをかませていく。今の時代の人々は携帯画面に対峙してる方が楽しく、昔、技術が発展する前の 時代にあった小さな出来事は、ただの思い出・記憶となってしまってる。この新しい「世界」では、人間はますます自分を喪失していく。どんどん テクノ ロジーの鎖はきつく、身体に巻きついていく。その時、人間は自ら棺桶を導き始める。『リアルリアリティ』の振付家、矢内原美邦は、このデジタル時代において、肉体が重要なものでなくなってる事を伝えている。「私たちは肉体を動かさ なくても何でもすることができるんだもの。」終演後に会った彼女の言葉である。「仮想世界では、どんなことでも容易にできる気がする。例えばシムシ テイゲームの中とか。でも、現実の世界にたち帰ると、困難に感じる事が多い。」彼女は言った。
Kiem Van Tim「KVT’s January Briefs... Oh What a Company!... Nibroll!」
+ Hanoi Grapevine
(抜粋〜)2月に国際的なアートフェスティバルにパフォーマンスや展示を観に行くが、2016 年私の記憶に最も残る体験となったニブロールを凌駕する作品に、果たして出会 うことができるのだろうか。 ニブロールは振付家とともに映像作家、音楽家、美術作家が作品を作り上げてい るため、カテゴライズするのが難しい...。おそらく、複合芸術なのだろう...とても素 晴しく見事なものであった! パフォーマンスを通して、二進数の文字や抽象的なパターン、鮮やかな色などの映 像が可動スクリーンに流れ込む。音楽はあらゆる方向から、打つように、時々忍び 寄るように、時には縛るように届く。スカンクによる素晴らしい音楽は楽器から声楽へと代わり、舞台上のダンサーは、 黒い布切れが上から落ちてくると、カートのような棺の上に積んでいき、長く苦し い無言の悲歌を我々の悲しい世界へと届けているように見えた。そしてダンサー が棺を押し引く姿は、近世に黒死病が大流行した際に、「bring out your dead」 と詠唱する声がこだまする裏通りをパトロールしていた死体回収車の直喩のよう に見えた。 時に混沌とし、時にゆっくりと昏睡状態のようになり、そして時に無政府主義のよ うになる「リアルリアリティ」は、これ以上ない完璧な芸術作品であった。
石井達郎「不安な時代に晒される鋭利な舞台」 (舞台芸術評論家)ダンスマガジン2015年5月号
(抜粋〜)オペラ調の歌唱が鳴り響き、万華鏡のような色鮮やかな映像が舞台全体を飛び交い、ダンサーが痙攣し、最後にすべてを弔うように鈴の音ととおに静かに終息してゆくエンディングは秀逸。ある種の諦観が美しく昇華する。不安な時代の今に、もろ肌を晒すように鋭利で充実したニブロールの新作である。
セノ・ジョコ・スヨノ「東京の虚構の現実・幻影」 (舞台芸術評論家)
(抜粋〜)東京からやってきたNibrollは、力強いマルチメディア言語が出現するダンス作品に取り組んでることで有名なグループである。空間は突然バーコード のような線、もしくは何かの象徴のようなシャープ記号によって埋め尽くされる。更にそこに、密集した数字が積み上げられていく。すぐに私たちは、こ のReal Realityとタイトルされた公演が、どんどんデジタル化していく都市に住む人間の問題を語ってる作品だと、その意図を掴むことができる。 様々な国で公演を行うたびに、Nibrollは現地のアーティストに参加してもらっている。ソロではダンサーのアグス・マルギヤントに声をかけた。アグス はたった5日間という、とても短い期間のリハーサルに参加。 Nibrollのアイデア“本来の現実ではなく、バーチャルなコミュニケーションとイメージに益々依存していくデジタル世界社会においての、人間の虚し さ”は、正直とても素朴で目新しいものではない。しかし、その執り行われ方はとても新鮮で、現実的だった。中でも特筆すべきは、映像マッピングだ。こ こインドネシアでは、すでに数多くの振り付け家が映像マッピング手法を取り入れてるが、それはしばしば、単なるアクセサリー・背景・舞台の飾り・甘 いアクセントにしか過ぎない。一方、Nibrollの映像マッピングは、振り付けの中で“演者”の一人として存在していた。 矢内原美邦はマルチメデイアを色っぽい味付け・コケテイッシュなものとしてでなく、迷いなく操れる。我々の若い振り付け家たちの多くがまだ到達出 来てないのは、まさにこの点なのだ。
立木燁子「時代に真摯な姿勢、説得力」 (舞台芸術評論家)
(抜粋〜)地球の裏側とも瞬時につながるインターネット。時間と距離を無化するスピードが 人間の知覚に影響を与え始めている。 氾濫する情報のなかで他者の痛みは遠い情景でしかない。 振付家の矢内原美邦を中心に異分野のアーティストが集結するニブロールの新 作は、身体感が希薄化した時代の危うさに焦点をあてている。可動式の美術(カミ イケタクヤ)、斬新な映像(高橋啓祐)、身体的に響く音楽(スカンク)、日常の動作 を活いかした矢内原の振り付けがかみ合い、相乗的に説得力を生みだした。 白い壁が覆う空間。全速力で走りこんできた矢内原が音をたてて壁に衝突する。 高速で流れ続ける数字と情報は判別不能。無知を告白する言葉やダンサーが首 をつる映像が反復され、ラケットを振り回し疲労困憊する男や若い娘たちの伸び やかな踊りが対比される。 一方で物が投げ捨てられ、ダンサーが脱いだ古着が堆積する。生身のダンスの息 づかいと生活の残骸との対比は、リアルを覆う被膜へと斬りこむ仕掛けだ。突然、 東日本大震災の記憶とつながり、映像は無彩色へと変化していく。遡及することを 許さない生の時間。暗喩をこめた記号的表現が埋もれていた記憶を呼び起こす。 終幕、降り続ける不気味な黒い布は、原爆炸裂さくれつ後の黒い雨を想起させる。 大量消費社会を暗示するように散乱した物や古着とともに黒い布もまたダンサー が箱に集め、奥へと押しやっていく。戦後70年そして震災から4年。記憶の風化を 止める手立てはあるのだろうか。年代別に集めたダンサーの身体的リアリティの 表現など、さらに工夫の余地は残るが、真摯に時代と向き合った好舞台である。
- workshop -
テレビやインターネット、携帯電話などの様々なテクノロジーの発達によって、遥か彼方での出来事や、過去や未来にある時間を、あたかも今ここにあ るかのように具現化することが可能になりました。しかし、それでも私たちは遠くで起こる悲劇を想像することすらできず、そこにある身体を共有す ることができません。本作では、そんなリアリティが希薄になった現代だからこそ、必ずその場に居合わせなければ体験出来ない舞台芸術のもつ 根源的な力、すなわち、今ここにいて、限りがあり、不確かな未来を生きている私たちが実感できる身体を提示し、真のリアリティを感じ取れる作品を目指しました。
この作品は2014年6月〜7月にかけて上富田文化会館(和歌山)、愛知県芸術劇場(愛知)、シアタートラム(東京)にてクリエーション・ワークショップを開催、総勢100名以上の参加者とともにクリエーション、発表会を行いながら制作しました。
クリエーションワークショップ参加者:
橋本和加子 原田稔 有馬達之 トリエユウスケ 石川育美 堀江義弘 田辺舞 河村郁江 滝絢名 野澤恵里子 村松里実 糸川亘 上符夏実 広沢純子 津曲晴子 渡邉智美 白井安美 高寺直子 吉川なの葉 富松悠 今市奈都子 鈴木祐太朗 鵜飼辰徳 西尾武 真都山みどり 小倉祥史 鈴木寛子 クリタマキ 奥田ケン 尾花藍子 杉山絵理 服部哲郎 夜久ゆかり 数本あんな 羽生青人 吉川千恵 高木理恵 菅井一輝 革崎文 柴田真梨子 中山有子 滝口美也子 栗栖千尋 石川理咲子 小見波結希 金子愛帆 酒井直之 篠原沙織 花田雅美 村田茜 島巻睦美 山西由香 石橋里美 望月美里 伊藤綾 新庄恵依 沖崎美海 神戸誠治 尾花藍子 大塚小容子 阿部秀宣 近藤央希 田中由美子 柳生二千翔 ウチダヨシノブ 西川裕一 木下毅人 砂川佳代子 宇澤とも子 岩田豊美 溝口知美 三木 万侑加 茂木成美 坂下みつき 森由岐 畑美沙季 高木美帆 松野愛 平野泰子 長勢唯 成田妙子
D. Maharani Pane Korinta Cyntia Delfi Ciota Inkani Tarigan Rayi Utaminingrum Sylvi Dwinda Aurelia M. Anugrah Sepdiansyah Putri Ayu Wulandira Handayani Fitri Anggraini Irfan SetiawanWidihasnoro Risang Suryo Hapsoro Michael Valentino Muhammad Aditya Muhammad Ariq Syahputra Audi Jefri Febinda Tito
<ワークショップ開催日程> 2014年度
6/27 - 29 @和歌山 会場上富田文化会館
7/4 - 7/6 @愛知 会場愛知県芸術劇場 大リハーサル室
7/18 - 7/20 @東京 会場世田谷パブリックシアター稽古場B
主催:ニブロール
上富田文化会館 愛知県芸術劇場(公益財団法人愛知県文化振興事業団)
提携:公益財団法人せたがや文化財団 世田谷パブリックシアター
後援:世田谷区
助成:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
- staff -
照明:ヤン・ベッカー
衣裳 : 稲村朋子
舞台監督:鈴木康郎
音響:須貝一也(株式会社JOY SOUND PROMOTION)
楽曲協力:成田夕香 中野智貴 映像協力:革崎文
宣伝美術:岡本健+ カミイケタクヤ 高橋啓祐
記録写真:前澤秀登 羽鳥直志
記録映像撮影:須藤崇規 佐々木雄一 イタバシヒロノリ
主催:
ニブロール
世田谷パブリックシアター(東京公演)
上富田文化会館(和歌山公演)
愛知県芸術劇場(愛知公演)
大地の芸術祭(越後妻有トリエンナーレ)
高松メディアアート祭(香川公演)
特別協力:急な坂スタジオ
助成:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団) 芸術文化振興基金 国際交流基金アジアセンター 文化庁
企画制作:precog
Special thanks :
公益財団法人井上バレエ団 SNOW contemporay 近畿大学矢内原研究室 黄金町エリアマネジメント 株式会社ダイコン 湯山千景 宇澤とも子 藤原美加 松尾恵美
- Archive Site -
©2018 Nibroll All Rights Reserved.